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2007年11月 アーカイブ

2007年11月14日

横浜で講演

ご無沙汰しております。不定期更新、古写真ブログ担当の三井です。
さて、今月と来月は様々な講演やシンポジウムに御招待をいただいております。こんな若輩をお呼びいただいて、本当にありがたいことです。感謝感謝。その分、がんばらなくては。
というわけで、今回は11月11日(日)に横浜開港資料館の講堂で開催された講座の模様を少しだけお伝えします。この講座は4回連続のもので、担当の斉藤多喜夫氏をはじめ、石黒敬章氏などそうそうたるメンバーがそろっています(残念ながら、すでに申し込みは終わっています)。そんな中で僕がお話しさせていただいたのは、第2回。「明治の写真技術 ~ガラスと卵の話~」と題して、写真の技術史的な側面のお話をしました。
写真はそのヒトコマ。
yokohama.jpg
後ろにプロジェクションしている写真、実は僕の曾祖父の写真なんです。残念ながら、撮影者はわかっていませんが、撮影されたのは明治27(1894)年。コロディオン湿板の技術を使って、制作されたアンブロタイプです。それにしても、なんでこんなに僕と曾祖父は似ているのだろう?DNAってすごいなぁとこの写真を見るたびに感じます。同時に、物理的に会うことは叶いようのない、曾祖父の顔や指先を知ることができる写真の力の楽しさを強く感じてしまうのです。

さてさて、今週の金曜日~土曜日は長崎大学で「古写真研究公開シンポジウム [古写真にみる世界史のなかの長崎]」で発表が待っています。このご報告はまた後日。
それから、来月の12月8日(土)に渋谷のたばこと塩の博物館で講演会(http://www.jti.co.jp/Culture/museum/tokubetu/eventnov07_pre/index.html)、12月22日(土)には横浜市民ギャラリーあざみ野(http://www.yaf.or.jp/azamino/index.html)で鶏卵紙のワークショップを行います。いずれも、ご参加いただけますので、お時間のある方は是非いらしてください。

実は講演の直前に横浜都市発展記念館の近くにあるお店でとてもおいしいパスタを食べたのですが、正直、写真を撮っている余裕がありませんでした。
申し訳ありません。
そんなわけで、おいしいもの情報はお休みです。
次回をお楽しみに。

2007年11月21日

古写真研究国際コンファレンス@長崎大学

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いきなり、僕の撮った稚拙な写真からですみません。鍋冠山頂上(長崎のグラバー園の上を登っていくと現れる展望台)からのパノラマ写真で、カメラの向きを変えながら撮影した写真を繋いだものです。

先日お伝えしたとおり、長崎へ行ってきました。
古写真の上ではF.ベアトや上野彦馬の写真などで、とてもおなじみの場所なのですが、訪れるのはほとんど初めてでした。時として、幕末や明治の風景を日ごろ見ている場所に、現在訪れるとがっかりする事もあるのも事実です。でも、長崎は違う。もちろん、古写真の中の長崎に比べて、高層建築を含んだ建物の数が飛躍的に増えていたり、街の対岸に位置する造船所には巨大なタンカーが停泊していたりと、状況は大きく異なります。でも、アップダウンの多い複雑な地形と海を抱いた街の構造は、東京で生まれ育った僕には本当に新鮮でした。お気に入りの場所になりそうです。
さて、11月16日~17日の二日間、内外の研究者を迎えて古写真に関する研究発表(古写真研究国際コンファレンス)とそれを総括する形で国際シンポジウムが行われました。そして、僕もその末席を汚させていただいたという次第。
招聘されていたのは、日本写真協会国際賞を今年受賞されたテリー・ベネット氏(英・古写真研究家)をはじめ、ヘルマン・ムースハルト氏(蘭・古写真研究家)、セバスチャン・ドブソン氏(英・古写真研究家)、ルーク・ガートラン氏(英・セントアンドリュース大学)、ブライアン・バークガフニ氏(長崎総合科学大学)、小佐野重利氏(東京大学)、高橋則英氏(日本大学)、三原文氏(大阪大谷大学)、齊藤多喜夫氏(横浜都市発展記念館)、倉持基氏(東京大学)そして、当館の金子隆一氏と僕。長崎大学からは全体のオーガナイズをされている姫野順一氏と若木太一氏が発表をされました。(敬称は氏に統一させていただきました)
日頃、尊敬している人々に囲まれて、自分の発表で緊張するやら冷や汗をかくやら、ほかの方のしっかりした調査に裏付けされた緻密な発表に感銘を受けるやらで、てんやわんやの16日でした。
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僕の内容としては、当館所蔵の《長崎パノラマ》という写真についてのもので、この作品の制作時期をある程度特定した上で、内田九一のパノラマ写真と比較しました。ともに長崎を撮影したパノラマですが、一方は測量の延長線上に位置するもの(この写真見る人の興味は長崎という場所に向く)であり、一方はそれ(パノラマ写真自体)を眺めて楽しむもの。明治初期までに制作された同じ土地を撮影して制作されたものでありながら、性格が大きく異なる。前者のパノラマが存在することを証明する方法として、1860年に長崎の英領事であったジョージ・モリソンが英総領事オールコックに向けて送った手紙を例として挙げ....

って、いくら古写真ブログとは言え、このお話をガッツリはじめるというのもなんですし、今回の研究発表内容については長崎大学からまとめたものを出版する予定ですので、興味のある方はもう少しおまちください。また、パノラマについての考察は、次回の当館研究紀要に執筆いたしますので、さらにガッツリ僕の考察をお知りになりたい奇特な方は、こちらをお待ち下さいますようお願いします。鋭意執筆中です。(現在、当館HPで研究紀要No.6を公開中!)
さて、17日の午前まで研究発表が行われ、午後からは会場を中部(なかべ)講堂に移して国際シンポジウム。
「古写真にみる世界史の中の長崎」と題されて、実に盛り沢山な内容。なんと上野彦馬、内田九一、富重利平という写真創成期を代表する三名の写真師の御子孫がご対面。それぞれショートスピーチの後、握手撮影をする場面も!テレビカメラが入っていましたし、フラッシュの嵐でした。(タイミングを逸して撮影できず。どうかご容赦下さい)そして、テリー・ベネット氏、セバスチャン・ドブソン氏による基調講演の後、パネルディスカッション、図書館長による「古写真研究長崎宣言」がなされて閉幕。
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こちらはパネルディスカッションでの一コマ。

それにしても、本当に有意義な時間でした。同じ古写真から色々な考え方が引き出せたり、アプローチの違いによって様々な結論が導き出せたりと、考えること仕切でした。そして、現場を見るというのも本当に大切だという事も実感。まだまだ解らないことや努力不足な部分が多いことも自覚しましたが、その分がんばれることも多いかなと。
お呼び下さった長崎大学に、本当に感謝です。

さて、恒例の美味しいもの。
もちろん今回は長崎の情報です。
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こちらは皆様ご存じトルコライス。長崎大学のすぐお向かいにあるお店でいただきました。ナポリタンとピラフ、とんかつ(デミグラスソース)、そしてサラダの組合せ。かなりなガテン料理です。おいしかった。16日の昼食にいただいたので、パワー全開で発表に望めました。

そして、今日はスペシャルでもう一つ。
長崎と言えば、ちゃんぽんでしょう!
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ちょっと甘めのとんこつスープに白菜、もやし、ニラ、豚肉、かまぼこなどの具がてんこ盛り。
料理が出た途端、卓にいた全員が無言になって黙々と食べてしまうくらい、ものすごく美味しかった。
連れて行って下さった現地の方いわく、「ここのお店がベンチマークですよ」とのこと。ということはこれよりも美味しいお店もあるという・・・。興味は尽きません、長崎。

2007年11月27日

番外編:新進作家展スティル|アライヴ ~ビール工場取材~

このところ、比較的いいペースで更新しています古写真ブログ。
さて、今回は番外編としてサッポロビール工場の取材をお届けします。
新進作家展第6回目となる本展は、「現代人の生と時間、その表現」をテーマに、写真・映像をメディアとして制作活動を行う30代のアーティスト4人に焦点をあてたグループ展(http://www.syabi.com/details/sakka_vol6.html)です。

もちろん、この展覧会は僕の企画ではありません。
しかし、展覧会の制作運営をひとりで切り盛りするのは難しいため、当館では常に主担当と副担当1名という2人体制でお仕事を運んでいます。つまり、この展覧会は僕が副担当というわけです。僕が主担当で企画する展覧会は、基本的に幕末~明治期に制作された写真で構成することがほとんどです。なので残念ながら、出品作品を制作してくださった人々にお会いすることは出来ません。古写真は大好きなのですが、ここだけは悲しい。残念でならない部分なのです。

ですが、今回はバリバリの現代作家。
それも僕とほとんど同年代の人々が制作する作品が出品される。
まして、実際に作家が取材しているところに立ち会うことが出来る!というのは、学芸員冥利に尽きます。
かなり、うれしい。この展覧会を企画した石田哲朗学芸員ありがとう。
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パパ一年目のイケメン学芸員、石田氏。

というわけで、スティル|アライヴ出品作家の田中功起さんの制作に立ち会わせて戴きました。
なお、この制作にはサッポロビールさんの多大なるご協力をいただきました。
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工場内に入るために制服をお借りしました。(写真中央が田中功起氏)

それにしても、ビール工場はかっこいい場所でした。
「来てるね、未来!」的というか、「ピタゴラスィッチ」的というか、轟音の中で恍惚としてしまう感じでした。
なにしろ、基本すべてがオートメーション。
その行程はというと・・・戻ってきたビールケースがレーンに入ると、まず大きなアームが一段ずつ降ろし、ビンとケースを分け、それぞれを洗浄。洗浄されたビンにビールを詰め、速攻で王冠がはめられます(この部分は完全にクローズ構造)。そして、規格に合っているか、異物の混入はないかなど、さまざまなチェックがもの凄い数のセンサー&人の眼によってなされて、適合したものだけにラヴェルが貼られる。そして、きれいになったビールケースと合流して、また積み上げられ、オートマチックで倉庫へ。
このすべての工程が、大体1時間半くらいで1サイクル終了です。
ビール瓶やビールケースはすべてリユース。
傷がついてしまったビンはそのままリサイクルされます。
ところで、みなさまご存知でしたでしょうか?
ビールケース(「P函(ピーバコ)」と業界の方はおっしゃるそうです)は、大体25年くらい使えるのだそうです。そして、その役目を終えると溶かされてパレット(ビールケースを積んで載せておく台)になるそうです。
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洗浄されているビールケース

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膨大に積み上げられたビールケースを撮影する田中氏

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流れる大ビンたちを撮影する田中氏(手ぶれしていてスミマセン)

田中さんによる今回の出品作品は、社会の中で流れるあるいは、循環するものたちを展示空間で一時停止させるもの。12月22日からの展覧会では、今回撮影した映像に、住宅廃材を利用して制作されたものを加えて、インスタレーションとして発表される予定。
ご期待ください!

今回の撮影取材は、古写真を「いま」プレゼンテーションすることを考えている僕にとって、とても意味のある時間を過ごさせていただきました。

さて、恒例のおいしいもの。
今回はもちろん、サッポロビール工場のお食事。社員食堂の定食です。
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白身魚の天ぷら定食。
実をいいますと、恵比寿の当館となりガーデンプレイスタワーにもトレーを使ってセルフサービスの社員食堂のようなお店があって、比較的よく利用しています。でも、こちらは本物。お箸は割り箸でなく、ちゃんとリユースするものだし、器も一切気取りなし。潔くてかっこいい。
一般のビール工場見学では、訪れることが出来る場所ではないので、かなり役得感がありました。

次回は、ちょっとまじめな古写真のお話を。

2007年11月29日

パノラマ写真

なんと、翌々日に更新するという快挙、躍進中の古写真ブログです。
さて、予告どおり、ちょっとまじめな古写真のお話をと思っていましたが、スティル|アライヴ展にも関わって、パノラマ写真のお話をしようと思います。
みなさまは、パノラマ写真というと、どのような写真を思い浮かべるでしょうか。そもそもパノラマとは全景あるいは展望を指す言葉(三省堂「大辞林 第二版」より)で、panoすべて+honorama眺めというラテン語を合成して作った造語です。手元にある1898年発行の“Encyclopaedic dictionary of Photography”には、一点からぐるっとまわして撮影する方法や、乾板のパノラマカメラの図などが掲載されています。ちなみに、これによるとパノラマカメラは1848年にフランスで作られたそうです(当然、このときの写真の技法はダゲレオタイプ!)。
つまり、写真発明初期からワイド・ヴューを求める欲求があり、これに導かれた写真たちがパノラマ写真だと、ザックリ言えばそうなるように思います。
ただ、なんというか、パノラマ写真というのはとても不思議なもののように思えてならないのです。
とくに、古写真で考えると特に不思議感が高まる。
最近、特に「古写真における撮影者と被写体と鑑賞者の関係」というのが気になっているのですが、少なくとも19世紀の日本で考えると、写真は基本的に「被写体」を見るものであって、「写真そのもの」を見るというのは極めて特殊だったように思うのです。そうやって、ちょっとカテゴリー分けをすると、「人物」「風俗」「景観」というのが被写体の三要素になるように思う。
人物写真は、肖像や集合写真を指します。
風俗写真は、その大半に人物か景観が併置しているものだけれど、制作意図としては人や場所よりも、もう少し抽象的な「風俗」というものを見せようとしているし、受け取る側も、誰が写っているのか?何処なのか?よりも、どんな服装か?何をしているか?どんな場所なのか?の方に視線が行く。
景観写真は、景色や情景を捉えたもので場所がどこか?が重要になる。
でも、どうもそれだけではないように思うものがあります。それが、下の写真。
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内田九一《長崎パノラマ》明治4年
確かに、長崎の港やそこに浮かぶ船(お召艦「龍驤」)や製鉄所などが写っていて、この写真が持つ天皇の西国巡幸を記録するという性格は十分に満たすもの。でも、それにも増して、手前に和服の人物を配し、大きく松の木を中央にすえた構図(コンポジション)に眼が行かないでしょうか。
構図。
これは被写体ではないですよね。あくまで写真という創作物が持つ要素であって、構図を見るということは、写真そのものを見るということに他ならないと思うのです。景観写真の一部である「風景写真」は、「古写真=被写体を見るもの」という構図を覆すように思えてならなくなってきたのです。

しかし。
しかし、風景写真においてパノラマはというのはさらに複雑な構造になっているようにも思えます。
ここで、現代の作品を見てみましょう。

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屋代敏博《回転回Live! 東北芸術工科大学》2007年

やはりこの写真も、やや中央をはずしたとんがり屋根の校舎から導かれる三角の構図が目立ちます。でも、画面中央右側を見ると、分かりにくいけれど、少し高い位置に赤い人物の存在が見えます。実はこの人物、屋代氏本人なのです。ちょっと高いところにおいて、特撮ヒーローぽい感じというか。
つまり、制作者自身が、全体を構図的に鑑賞するだけでなく、詳細に見据えることを前提にしていると思います。
つまり、下のような図式なのかなと考えました。
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19世紀の写真において、景観を捉えた写真という枠組みを考えると、その中に風景写真という、構図を重視した被写体を見るだけではない写真の存在がある。
でも、これらに内在する写真の中で「パノラマ」という形式を使って制作を行った写真の場合、「被写体を見る」ということも「構図を見る」こともどちらもイーブンに可能な写真になる。

「古写真を構造的に概観できないだろうか?」
なんて蛮勇なことを考えていたら、こんなところにたどり着いた。・・・そんな感じです。

ちょっと、知恵熱が出てきそうな感じなので、今日はこのあたりで。


恒例の美味しいもの情報。
今日はふたたび恵比寿。当写真美術館は、恵比寿ガーデンプレイスの中にあります。勢い、僕たち職員はガーデンプレイスの中で昼食をとることが多いのです。(コンビニのお弁当で済ましてしまうことも少なくないのですが・・・)そこで今回は、地下の焼鳥屋さんの「むぎとろ定食」。
でも、智恵熱のせいか、写真がぶれてしまいアップできませんでした。
どうかご容赦を。
とってもボリュームもあり、美味しいです。こちらは「高菜わっぱ飯」や、もちろん「焼き鳥定食」、そして、いまの季節は「かきフライ定食」などもあって、バラエティも豊富でおすすめです。

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