2010年03月19日

沖縄調査

いちばん近いあなたの美術館 東京都写真美術館。

先週から開幕いたしました「森村泰昌 なにものかへのレクイエム 戦場の頂上の芸術」、もうご覧いただけましたでしょうか。
ぜひいらしてください!

そんな中、古写真担当である三井は沖縄で作品調査をして参りました。
伺ったのは、沖縄県立博物館・美術館琉球大学図書館、そして那覇市歴史博物館
県立博物館では、熊本鎮台沖縄分遣隊(首里城)の鶏卵紙(名刺判)と明治初年に撮影されたと思われる写真(アンブロタイプを複写したと考えられ、印画紙に光沢がなく厚みも薄いことから明治末から大正期に制作されたものと考えられる)を調査いたしました。

熊本鎮台沖縄分遣隊
(画像をクリックすると大きな写真がポップアップ画面で見られます)



熊本鎮台沖縄分遣隊(部分)
(画像をクリックすると大きな写真がポップアップ画面で見られます)



熊本鎮台沖縄分遣隊 裏面
(画像をクリックすると大きな写真がポップアップ画面で見られます)


熊本鎮台沖縄分遣隊は明治12(1879)年から明治24(1891)年まで首里城に駐留していましたから、本作はこの時期に撮影された写真です。
沖縄の歴史の深さを感じさせる一枚です。

琉球大学図書館では、『明治期写真帳』と題された2冊組の写真帳を調査しました。
(一)は22ページ・29枚、(二)は38ページ・47枚からなっています。貼付されている印画紙はすべてゼラチン・シルバープリントです。光沢があるものとないものとが混在しており、ホワイトフレームの有無も混在していました。また被写体も家族写真のような集合写真、首里城などの景観写真、植物写真、蛇や爬虫類・ヒトデやウニなどの写真、農作業・祭礼記録などいくつかに分類できる内容。かなり興味深い写真帳でした。

(一)の背表紙(画像をクリックすると大きな写真がポップアップ画面で見られます)

明治41(1908)年に取り壊され、復元されていない「中山門」。(画像をクリックすると大きな写真がポップアップ画面で見られます)
画面左中段に電線らしき線が見え、門の向こうを拡大すると

電信柱が確認できます。これによって撮影年の幅がある程度は限定できるでしょう。
ほかにも、

農作業や

海星

少女たちの集合写真など
興味深い内容です。

次に、那覇市歴史博物館の調査について。

印画紙は鶏卵紙で、「沖縄美人」と達筆な楷書で書かれた台紙。(画像をクリックすると大きな写真がポップアップ画面で見られます)台紙の上部に切り取られたような痕跡がみられるため、アルバムから切り離されたものだと考えられます。裏面には、記載・写真貼付共にありませんでした。

退色は感じられるものの、凛とした女性の表情と装束の美しさがわかります。(画像をクリックすると大きな写真がポップアップ画面で見られます)
(ハウリングなどお見苦しい点がありますが、三井の撮影した調査写真です。ご許可をいただいて掲載させていただいておりますので、どうぞご了承くださいませ<(_ _)>)


調査にご協力くださいました皆様、本当にありがとうございました。
この場を借りまして、衷心より感謝いたします。
そして、展覧会を心待ちにしている皆様!
来年の3月~5月、これらの作品を東京でお見せできる機会が得られるよう、努力します。
どうぞご期待ください!


正直、今回の調査では天候に恵まれず、傘やコートがお友達の沖縄でした。
海を眺めてボーッとする時間はまったくなく、ガシガシ仕事に明け暮れました。
そんな中でも忘れていません、おいしいもの情報。
もちろん、沖縄そばです。

そして、後ろに見えるのは、鰆(さわら)のお寿司。

本当においしい!

さらに空港で見つけたハンバーガー

これも美味でした。

実は「四国・九州・沖縄編」アンケート調査の時から、ガッツリと関わってがんばってくれているインターンの天野君も、沖縄調査に同行していただきました。
いつもの調査はひとりですから、本当に大助かり。
そして、そういう問題ではなく、彼は本当にしっかりしている。
気が利くのに、気を利かせていることを見せない!
本当に頭が下がります。
本人に直接いうのは照れくさいので、こちらを借りて「ありがとう!」を。
そして、次回の調査もよろしく!

ではまた

2010年03月07日

侍と私

東京は啓蟄を過ぎても寒い日が続きますが、みなさま風邪などひかれていませんでしょうか?
古写真ブログ担当の三井です。
さて、本日は5月15日から開催予定の「侍と私」について。
東京都写真美術館のコレクションを中心としながら、明確なテーマを設定して行う展覧会。今回のテーマはポートレイトです。
しかも、単身像だけを取り上げます。
ポートレイトは本来、西洋のものです。西洋の肖像画の長い歴史から派生したのが肖像写真であることに異論はないでしょう。このように考えて、ポートレイトから初期写真を考えてみようと企画しました。

1839(天保10)年、フランスで誕生した最初の実用的写真方式ダゲレオタイプは、瞬く間に欧米社会へ広がった。1859(安政6)年の開国を皮切りに、この技術は日本へ本格的に渡る。少なくとも1861(文久元)年には日本人で写真師として営業した人物がいた。翌年には長崎の上野彦馬、横浜の下岡蓮杖が開業し、多くの弟子を育てていくことになる。彼らは皆、ポートレイトからその仕事をスタートしている。明治政府樹立へ向かう動乱期、侍たちは明日をも知れない我が身を家のために、あるいは妻子のために残そうと写場へ足を向けたのである。1872(明治5)年には、岩倉使節の求めに応じるかたちで今上天皇であった明治天皇と皇后の肖像写真が制作される。これは政府諸施設や高級官僚、諸外国の使節などに配布され、度重なる規制にもかかわらず複写写真が販売されたのである。このように日本のポートレイトは写真渡来と共に出発し、私から公へと引き上げられるように広がっていった。
これに対して、西洋では長く肖像画の伝統があった。しかし、これらは一握りの王侯貴族に許されたものである。1715(正徳5)年に始まるルイ15世時代の財務大臣であったエティエンヌ・ド・シルエットが切り絵による単純化された肖像画を好み、この流行によって肖像画に廉価な方向性が生まれる。さらに人物の影をトレースするフィジオノトラースが18世紀末にうまれた。19世紀中葉に生まれた写真は発表された当初は感度が低いためポートレイトの撮影は難しかったが、直後から改良発明が熱を帯び、感度が飛躍的に上昇した。これにより、肖像はブルジョアジーに開放され、多くの人々が自らの肖像を手にしようと写真館へ向かったのである。
このような写真館のひとつにパリ・キャプシーヌ通りにあるナダール・スタジオがある。1862(文久元)年および1864(元治元)年、このスタジオに日本人が訪れた。遣欧使節の面々である。ナダールは19世紀を代表する肖像写真家であり、スタジオはサロンの様相を呈していたという。侍たちはナポレオンからの要請でこの写真館を訪れた。
これを遡ること10年、1854(嘉永7)年に同じパリのディスデリが、カメラに複数のレンズを装着し、原板の一部分の露光を繰り返すことで一枚の原板に複数の画像を定着する方法を考案した。この名刺判の普及によって、ポートレイトはさらに裾野を広げることになり、民衆は自らの肖像を手にしたのである。日本では、このような紙の写真のほか、ガラスを支持体としたガラス生取り写真(アンブロタイプ)が桐箱に入れられる体裁で広く普及し、明治20年代になるとコロタイプを中心とする写真印刷も広がりを見せる。これによって写真画像はさらに複数の人々の手に渡るようになり、元勲や志士といった時代のヒーローだけでなく、芸妓などのアイドルがポートレイトを媒介として定着するようになるのである。

といった具合。
江戸の文化に流入したポートレイト、伝統に則った西洋のポートレイト、西洋へ赴いた侍たちが現地で撮したポートレイト、そして技術革新によってマス化する流れ。
東京都写真美術館の収蔵作品を中心にオリジナルの写真から19世紀の息づかいを感じていただける構成にしたいと、現在鋭意準備中です。
ご期待ください。

さてさて、しばらくぶりのおいしいもの情報。
本日はちょっと郊外へお散歩、ヌーベルシノワ(フレンチ系の新しい中華料理?)のお店。国立インターから車で少し。前は団地で大通りに面しているわけでもなく、お店はとても小体。厨房がしっかり見えて席数も少ないのですが、休日とはいえ午後をずいぶん過ぎた時間にもかかわらず満席。ぎりぎりで待たずに入れた感じでした。

さっぱりおいしかった梅レタスチャーハン


絶品!ハチノスの煮込み

ご近所の方も多いのでしょうか、キッズもたくさん来店していました。ドアを開けるキッズに「あぶないよ!気をつけて!」とフライパンを振りながらも声をかけるシェフにぐっときました。

追伸:去る1月9日(土)函館圏文化芸術活用事業「文化と編纂」にお招きいただき、名だたる方に混じってお話しさせて戴く機会を得ました。

当日は、雪がちらつく中にもかかわらず、多くの方にご来場いただきました。
この日のメインは、時代小説家の宇江佐真理さん。
とてもキュートな方で、いきなりファンになってしまいました。
以来、気がつけば20冊を超える勢いで宇江佐さんご本を拝読しています。平明で地に足のついた文体と調査の行き届いた考証、そして、なによりも人の情を本当に大切にされているのがよくわかります。江戸の人々の生活を身近に感じられる心の清涼剤。宇江佐文学、おすすめです。

2010年01月05日

香川県調査

こんにちは、古写真ブログ担当の三井です。

予告予告、でなかなかできなかった四国・九州・沖縄編調査報告第一弾。
今回こそは、平成23年3月より開催予定の第三回開拓史展の初回調査で平成21年10月に訪れました香川県のお話です。

たまには学芸員らしく、改まって今回の目的をまずご説明します。
この展覧会は、四国・九州・沖縄を調査地域とする展覧会です。公立に限らず、公開機関を持つ組織(美術館、博物館、文書館、資料館、図書館など)やこれらと関わりの深い教育委員会や大学へ古写真に関わるアンケートをお願いし、お答えいただいた内容に沿って調査をさせていただいて、この成果を展覧会としてまとめるものです。このアンケートは11月にお送りしたものなので、香川県はちょっとフライングです。
というのも、以前からさまざまなご協力をいただいていた香川県教育委員会の方がご尽力くださり、今回の調査にも一方ならぬご助力をいただきました。このため、県内の所蔵情報をいち早く知ることができ、早期に調査へうかがうことができた!というわけです。

今回ご報告するのは、塩飽諸島の本島に位置する塩飽勤番所。
こちらには、遣米使節に同行した咸臨丸の乗組員が持ち帰ったアンブロタイプが2点収蔵されています。こちらの調査には教育委員会の方のほか、日本大学芸術学部写真学科の助教でいらっしゃる田中先生も同行されました。


若干雨がぱらつく中、丸亀からフェリーでいざ本島へ。
それにしても、瀬戸大橋ってすごいですね。人が力を合わせると、何でもできるんじゃないか?って思えてしまいます。


史跡が多く、美しい島です。


いざ勤番所へ!

調査させていただきましたのは、制作者不詳《向井仁助像》とウィリアム・シュー《松尾延次郎像》の二点で、ともにアンブロタイプで万延元(1860)年に咸臨丸で渡米した像主が、サンフランシスコで制作を依頼した写真です。


制作者不詳《向井仁助像》

ウィリアム・シュー《松尾延次郎像》

ともに調査時の写真なので、写り込みなどのお見苦しい点はご容赦くださいませ。

制作者不詳《向井仁助像》は蓋(あるいは表紙)の部分が欠損していますが、画像はとても堅牢で頬や刀の柄部分に着彩がしっかりとあります。ケースがすべて残っていないとはいえ、この点をのぞけばとても良いコンディションです。
ウィリアム・シュー・スタジオ記載が入ったオーバルフレームが使われている《松尾延次郎像》は、分解されたらしい痕跡があり、画像が見えにくい状態にありますが、蓋(あるいは表紙)部分がしっかりと残されています。本来であれば、乳剤面が箱の内側にあるはずなのですが、現在、この作品は乳剤面が露出している状態にあります。分解されたあとがあることからも、何らかの理由で分解され、本来ではない状態で組み立てられてしまった可能性が高いと考えられます。

いずれにしても、万延元年制作のアンブロタイプ!です。
貴重な写真作品であることには、何の異論もないでしょう。


今回の香川県調査では、こちらのほかに、香川県立ミュージアム、多度津町立資料館、丸亀市立資料館、東かがわ市歴史民俗資料館などへおうかがいし、作品調査をさせていただきました。所蔵館の皆様、ご協力まことにありがとうございました。
また、本当にお世話になった香川県教育委員会さまには、足を向けて眠れません。
衷心より感謝いたします。

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
古写真ブログ担当の三井です。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、1月2日の写真美術館は、毎年恒例のお正月開館。
写美雅楽、そして、「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」のギャラリートークがございました。

橘雅友会のみなさまによる演奏

雅楽というと、神前結婚式のイメージが強いですが、新年の寿ぎにはまさにぴったり。
素敵な演奏でお正月ムードは最高潮でした。橘雅友会のみなさまによる演奏は3日にも行われました。

それにしても、今年のお正月開館は本当に盛況で、1月2日はなんと7000人を超えるお客様にご来場いただきました。本当にみなさまへ感謝です。
ただ。。。ご来場いただけたのは本当にありがたいのです。本当です。でもでも、だからこそ大変申し訳ないことが。。。

ギャラリートークの風景です。
写真中央でチラシをかざしているのが、当館の専門調査員・金子隆一です。
250人を超えるお客様に展示室でお話しするのは、いかに金子先輩といえども初体験だったようです。まるで年末のアメ横のよう。。。どうしても通常のギャラリートークのように作品個々を指し示しながら、じっくり説明させていただくということはできませんでした。この点は、とても口惜しいのではないだろうか?と、シャッターを切りながら考えてしまいました。
そうはいっても、皆様からご期待いただいているからこそ、ゆっくりしていたいお正月から、おいでいただける。
本当にありがたいです。

さてさて、今年の古写真、5月15日(土)からはじまります収蔵作品展、そして、来年3月に開幕します開拓史「四国・九州・沖縄地方編」にむけて、鋭意準備をして参ります。
本年も、東京都写真美術館、ならびに古写真ブログをどうぞよろしくお願いいたします!!


2009年10月27日

満員御礼

こんにちは
古写真ブログ担当の三井です。
前回告知をさせていただきましたセバスチャン・サルガド氏の講演は、おかげさまをもちまして大盛況。多くのお客様にいらしていただいたとともに、大きな混乱もなく無事終了いたしました。
ご来場いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。また、日本写真専門学校の学生の方々、当館のボランティアスタッフの方々、そして、体育館を使用させていただきました加計塚小学校、その他ご協力いただきましたみなさまに心より感謝申し上げます。そしてそして、、、整理入場券が開場時間の1時間以上前に配り終えてしまったため、当日ご来館いただいたにもかかわらず、ご入場をお断りせざるを得なかったみなさま、本当に申し訳ありませんでした。
11月7日(土)には「アフリカのお話」と題しまして、JICA(独立行政法人 国際協力機構)地球案内人 小中隆文氏に御講演をいただくことも予定しております。詳しくはこちら
おたのしみに!(^^)

2009年10月18日

【緊急告知】今年最大のイヴェント!

おはようございます。
香川県での調査についてのご報告を鋭意執筆中、古写真ブログ担当の三井です。
そして、自分の仕事に集中してしまうと周りが見えないと反省中の三井です。
さてさて、そんな中、飛び込んできました情報をアップします。

今週末10/24(土)から「セバスチャン・サルガド アフリカ 生きとし生けるものの未来へ」がはじまります。
この展覧会は、セバスチャン・サルガドという写真家をご存じの方も、そうでない方も本当に必見の展覧会です。
今年、最大の展覧会!

ところで「写真は、結局構図だろ!」というお話、よく耳にしませんか?
僕自身は必ずしもこの意見に賛同しません。
色彩(モノクロ含む)も、暗室ワーク(デジタルの場合はPC処理)も、作品の連続性も、挙げればきりがないほど写真作品には重要なポイントがあって、それぞれのうちどれかでも突出したものがあれば、感動してしまうものだと思うのです。
これが僕の考えです。
でも。
セバスチャン・サルガドの作品を見ていると、構図至上主義の方々の気持ちがちょっとわかるような気がするのです。
サルガド氏の写真は、あくまでドキュメンタリーです。現代アートのカテゴリーで仕事をされている方ではないでしょう。
しかしそれでも、構図の妙味に息を呑みます。
妙味、いや妙技、うーん。味ともわざとも違う、完璧に構成された構図。
しばしこの「構図の妙」に打たれた後、冷静にもう一度画面を見、キャプションを読むとドキュメンタリーとして一枚一枚の重みがドスンと響いてくる。
本当に強い写真なのです。
さらに彼の写真にはばらつきがありません。
すべての作品が同じ重さで琴線に触れてくる。
美しく、強く、重く、そして考えさせられる写真。

大げさに言えば、写真というもののポテンシャルがいかに高いかを思い知らされる作品。
本当に圧倒的なのです。
古写真に宿るパワーを感じられる方には、きっとセバスチャン・サルガド氏の写真は共鳴する。僕はそう信じます。

そしてなんと、そのセバスチャン・サルガドが現在来日しており、初日である10/24に講演会があるのです。

--- セバスチャン・サルガド講演会 ---
2009年10月24日(土)14時~15時30分 
会場:渋谷区立加計塚小学校(東京都写真美術館より徒歩5分)
定員:約400名
受付:当日10時より当館1階受付にて整理番号付き入場券を配布します。その際、展覧会チケットをご呈示ください。
開場:午後13時00分~(整理番号順入場・自由席)

この整理券は、たった400枚しかありません。
それでも、当館のホールの倍以上の会場をご用意しました。
それでも400名の方にしかチャンスがないことも事実なのです。
ですから、朝10時からお並びいただかなくてはお入りいただけないかもしれません。でも、かならずそれだけの価値はあります。
日本で彼の声を聞くことのできる機会は、またいつ訪れるのかわからないのですから。


どうしても、この貴重な機会をお伝えしたくて、この場を借りました。
次回はちゃんと香川県での調査をご報告します。
ではまた

2009年10月17日

多摩図書館にて

ご無沙汰しております。
古写真ブログ担当の三井です。

さて、ビゴー展の作品返却も無事に終了し、次回の開拓史に向けてアンケートリストを作成する日々ですが、そんな中、12月22日(火)から開催される「映像をめぐる冒険vol.2」展に関わり、東京都立多摩図書館へ行って参りましたので、そのご報告です。
目的は、16mmフィルム映写機をお借りすること。この目的は、ご担当のご助力であっさりOK!ご協力、本当に感謝いたします。
今時16mm?そうお思いの方もいらっしゃると思いますが、こちらは12月の展示をお楽しみに!!
そして、なぜ16mmが図書館に?そうお思いの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、「なるほどね、ふふふ」と一瞬にしてご理解された方もいらっしゃると思います(笑)
多摩図書館は、南部線・西国立駅が最寄り駅とする都立の図書館。
すごいですよ、この図書館は!
特徴はというと。。。
・東京マガジンバンク(一般雑誌から学術雑誌まで幅広い分野の雑誌約16,000誌を所蔵!!)
・児童・青少年サービス(児童書約143,000冊、青少年資料約10,500冊、児童書研究資料約13,500冊)
そして、「16ミリ映画フィルムの団体貸出、映画会実施」です。
所蔵される16mmフィルムの数は9,400本!!(検索はこちらから)実際に閉架の書庫へ入らせていただきましたが、かなり壮観でした。

ずらりとならぶ16mmフィルムを前に、萌えまくりの当館「映像をめぐる冒険vol.2」担当の岡村学芸員


多摩美図書館で16mmをご担当されているお二人。そして、岡村学芸員。めっちゃ、うれしそうです。こういう場所で脂下がってしまうのは、学芸員のサガでしょう。(笑)

この図書館は逐次刊行物に力を入れているだけのことはあり、古写真に関わる明治時代の新聞なども充実。もちろん写真関係の雑誌もあります。
調べ物にも、ゆっくり休日を過ごすのにも最適。
もちろん、16mmフィルムを使った上映会も開催されています。
本当に素敵な図書館ですので、ぜひぜひ一度お運びください。


さて、おいしいもの情報。
実は多摩図書館の近くにとてもおいしいハンバーグ屋さんがあるのですが、こちらは写真を撮っておらず、また今度。すみません。
その代わりといっては何ですが、当館近辺の情報です。
最近、アメリカンダイナーが流行っていませんか?
恵比寿にも、新しいお店がちらほらちらほら。
その中で今回は、ハンバーガーのおいしいお店をピックアップ。

偶然ではあるのですが、今回もアボガドバーガー

当館から歩いて5分程度の坂の途中にあるお店。店内の装飾もかっこよく、それでいて男同士でガッツリ食べるのにもグッド。そして、ハラペーニョホッパーというフライもお勧め。モッツァレラチーズをハラペーニョで包んでフライにし、ブルーチーズドレッシングをかけていただきます。追いかけてくる辛さでついついビールがすすみます。

次回は、ついに始まった開拓史展の調査について、お伝えできればと思います。
ではまた

2009年08月21日

ラスト・ウィークエンド!

みなさまこんにちは、古写真ブログ担当の三井です。
さて、本日は8月21日。金曜日です。
ジョルジュ・ビゴー展、残すところ、あと土日二日間のみとなりました。
本日は、本展覧会で最後のフロアレクチャー。通常のフロアレクチャー参加人数に比べ、かなり多めの45名。様々な世代の方にご参加をいただきました。
本当にありがとうございました。

受付前でレクチャー風景

それにしても、今回の展覧会は濃い!
もっともっとお話したい!お伝えしたい!そう感じる作品がヒシメク展覧会なのです。

展示室内、磐梯山噴火写真群前で

残念ながら、この土日はレクチャーがありませんので、ワンポイント講座。
点数が多いだけでなく、当館の展覧会中でも解説の数も最多かも知れない!っていうほど、見所・読み所満載の展覧会なのです。それなので、展示室内ベンチの数もちょっとだけ増量。通常の1.5倍です。ゆっくり展示室を巡っていただければ幸いです。
さらに、当館のチケットは当日の再入場は何度でも可!
今回の展覧会は3部構成ですが、日本の部分がなんといっても多く、次は帰仏後です。ですから、まずざっと全体を早足で歩き、全体数を把握したら、まず来日前、ひとつ飛ばして帰仏後をじっくり見て、いったん展示室を出る。なにしろ、エピナール版画のコーナーは描かれている内容と添えられたストーリーが楽しい。しっかり読んだら、当館2階のオープンカフェでひと休みがいいんです。このとき、図録をめくりながらじっくり見たい作品をチェックするなんていうのも素敵です。そして、再び展示室で日本滞在中の作品をじっくり見る。
このまわり方だと、前半には初めての発見が、後半には再発見がそれぞれぎゅっと凝縮されて、きっととても楽しめると思います。
この土日、涼しい展示室でぜひ熱くビゴーにはまってみませんか?
ぜひ!

今回の美味しいもの情報。
休日にちょっとだけ恵比寿を離れて訪れた千葉県のおうどん。
千葉のうどんといえば、そうです街道沿いにたくさんある案山子のマークです。
ファーストフードと侮ることなかれ!
なんと「冷やしコロッケうどん」!
これがおいしい。

麺はしっかり冷やしてコロッケは熱々。
驚きの食感で、新しいおいしさです。
ぜひお試しを。
ではまた!

2009年08月01日

お魚屋さんをめぐる写真と版画

こんにちは、古写真ブログ担当の三井です。

今日から8月になりました。
みなさまお元気でしょうか。
夏にバテていませんか?
今日の東京は、どんよりと曇ってパワフルな温湿度を展開しています。
ヒートアイランドなんかに負けずに、がんばりましょう!

さて、今回は下岡蓮杖(しもおかれんじょう)とジョルジュ・ビゴーのお話です。
といっても、この二人の人物そのものには、おそらく接点はありません。現在のところ、二人が出会ったことに関する記述は見つかっていませんし、きっと出てこないでしょう。お互いに名前さえ知らなかったかもしれません。
それでも、深い共通点がある作品があったのです。


下岡蓮杖《題不詳(魚屋)》幕末から明治初期


ジョルジュ・ビゴー《魚売り》『クロッキージャポネ』より

さて、この二点を比べてどのようにみえるでしょうか。
ビゴーの描いた魚屋は、蓮杖の風俗写真(60x100ミリ程度の名刺判)に比べて表情や手足に動きがあるものの、あまりに似ていませんか 。もちろん、完全に一致しているわけではないため、ビゴーがこの写真を完全にコピーしたわけではありません。
でも、頭髪は鉢巻きで結ばれていたり、胸元の開き加減もよく似ています。裾の端折り方も高さこそ違いますが、ドレイブのかたちがよく似ています。また、蓮杖の名刺判ではお魚が捌かれて頭だけの印象を受けるのに対して、ビゴーは一匹まるまる描かれているという違いはあります。しかし、天秤の上にまな板があり、ここに魚が置かれてる点は共通しています。いずれにしても、無関係とするには、あまりに似すぎた2点だといえるでしょう。(着物の袷が逆であることについては、長くなるので割愛。とはいえ、ちらっとだけ書きます。この作品の版画技法である銅版画の場合、版面に描いた絵が逆になってプリントされます。つまり手本を見ながら同じように版面へ描いて制作すると、手本とは反転した版画ができあがるのです。)

このブログをお読みいただいている皆様はすでにご存じの方も多いとは思いますが、下岡蓮杖について、ちょっとおさらいです。
蓮杖は狩野派の絵師から写真師へ転向した人物で、文久2(1862)年に横浜で開業した日本最初期の写真師。横山松三郎、臼井秀三郎など多くの写真師を育成し、明治10(1877)年頃には後進に譲って写真の背景画などを書いた人物。長命で大正3年に89歳で亡くなりました。蓮杖は肖像写真の作例もありますが、圧倒的に風俗写真を多く残しています。
ポイントは明治10年頃に写真制作から離れているということ。そして、この風俗写真は日本人にではなく、外国人に向けて販売されていたということ。

ビゴーが来日した頃、すでに下岡蓮杖は写真制作から離れていたわけです。ビゴーは何らかの方法で蓮杖の写真を見つけ、この姿にビゴーの求めた日本を見たのではないでしょうか。
完全なコピーではないし、この写真は名刺判サイズの小さな写真です。さまざまな変更を加えて銅版画へ起こしているわけですから、ビゴーを剽窃画家と揶揄しようというのではもちろんありません。まして当時は、現在のように著作権が明確に規定されている時代ではありません。自分が撮影したものであれ、そうでないものであれ、写真をベースにして絵を描くこと自体に不思議はないのです。
ビゴーの眼が明治中期という「いまここ」よりも幕末や明治初期に向けられたとき、写真が強い力を持っただろうことに注目したいのです。そして重要な点は、ジョルジュ・ビゴーが写真を素材として利用する視点を持っていたこと、小さな名刺判写真へも眼を配る情報収集能力の高さではないでしょうか。

展覧会場には、下岡蓮杖の写真が10点展示してあります。そして、田中美代治とウィリアム・K・バルトンによる磐梯山噴火の写真も展示中です。磐梯山噴火の写真はとても珍しく、今回初出品です。
会期は23日(日)まで。
お見逃しなく!

さて、久しぶりのおいしいもの情報。
今回は、ちょっと遠方。長崎のお話です。
実は、夏期休暇を利用して、写美のお仕事を離れた調査(博士論文執筆のための現地調査。このお話も、機会があれば是非)で長崎へ行っていました。といっても、やはり古写真関係の調査ですし、次回開拓史展の調査地域ですので、お仕事モードに入るタイミングも少なくありませんでしたが。。。それはさておき、チャンポンです。
前回長崎へ伺ったときは中華街のお店で「ベンチマーク」となるチャンポンをいただいたのですが、今回も長崎としてはとてもスタンダードなお店のようで美麗な店内に広いロビーのあるしっかりしたお店でした。そんなお店だと、雰囲気重視か?と思ってしまいますが、さにあらず。
前回のお店と違い甘みのないスープでしたが、濃厚で太い麺と魚介類、そして長崎特産のピンク色の蒲鉾がきらびやか。濃いのに軽みがあって美味でした。

本当にチャンポンはおいしいですね。
みなさまも機会があれば是非!
ではまた

2009年07月22日

ジョルジュ・ビゴー展 好評開催中!

こんにちは、みなさまお元気でしょうか。
古写真ブログ、担当の三井です。
さて、本日は現在開催中の「ジョルジュ・ビゴー展 -碧眼の浮世絵師が斬る明治-」についてです。
今月10日(日)から開催しております本展は、出品作品を細目まで数えると、300点を超える展示で、とてもコユイ内容大爆発です。
本展の重要なコンセプトは2つ。
1)ジョルジュ・ビゴーの全仕事を通覧することによって、ビゴーの輪郭を浮き彫りにする。
これまでビゴーというと「釣りの勝負」に代表される風刺画が重点的に紹介されており、このため、風刺画家として理解されている。しかし、風刺だけがビゴーの仕事ではなく、さまざまな方向性を持っている。帰仏後にはフランス版浮世絵ともいえるエピナール版画へ活躍の場を移し、ここでの仕事はまさに日本の浮世絵師のようにさまざまな試みをしている。
2)ジョルジュ・ビゴーと写真との関係を基本に、ビゴーと写真、あるいは写真史における事象をビゴーの作品との関係から見いだす。特に下岡蓮杖の作品との関係、磐梯山噴火をとらえた作品、日清戦争写真帳からビゴーと写真を考えます。
そして、先週の金曜日17日には、展覧会監修者である及川茂先生(日本女子大学教授)によるカフェトークが行われました。18:00~20:00の夜間開館の時間に行われ、終始和やかな雰囲気でした。
まずは展示室でオリジナル作品をまえに作品解説。


展示室での解説風景(ちょっとぶれてますね、申し訳ありません)

そして、カフェに移ってベルギービールやソフトドリンクを片手に先生のお話を聞きます。
今回展示できなかった及川先生所蔵の作品やフランスのエピナール美術館でのお話など、今回の展覧会の内容をとても深く理解していただける内容でした。下岡蓮杖やバルトンの写真についての部分は、三井も解説に加わらせていただきました。
かなり好評で、みなさま大満足でお帰りになりました。
ご参加いだだけなかった皆様、申し訳ございません。

しかし、お聞き逃しになった方に朗報です。

8月7日(金)にはクリスチャン・ポラック氏によるカフェトークを予定しております。フランス人であるポラック氏は有数のビゴーの研究者でありコレクター。本当に深くビゴーを理解され、ビゴーのご遺族を発見された方でもあります。『ビゴーの愛でた日本』と題したお話をいただきます。僕自身も興味津々、本当に楽しみです。
申し込み方法はこちらのカフェトークの欄をご覧ください。みなさまのお申し込みをお待ちしております。

それにしても、今回の展覧会は作品が多い!そして、解説も読み応え十分です。
実は、点数が多いので作品名や解説を記したプレートをつける位置が難しくなってしまいました。これらの位置をすべて作品の下に設置しましたが、これについて、お客様から館内のアンケートでご指摘をいただきました。
そこで!
先週末、プレートの位置をリニューアル。
かなり読みやすくなったと思います。
一度いらした方も、そうでない方も、ぜひゆっくりじっくりご覧ください。

そして、ご注意!!
この展覧会は残念ながら会期が短く、8月23日(日)までです。「そのうちに行こう!」なんてのんびり構えていると。。。。
ぜひお早めに!

次回は、ビゴーと写真の一考察。下岡蓮杖の写真との比較でお話ししたいと思います。
ではまた。